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オフボーディングとは?退職エクスペリエンスを向上させるための施策

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会社を経営していれば、避けられないのが中核人材の退職。しかし、ワークスタイルの多様化が進む昨今においては、退職を希望する従業員を引き止める行為は、「退職をさせてくれなかった」と反感を買ってしまい、かえって逆効果になってしまいます。

そこで、注目されている取り組みが「オフボーディング」。オフボーディングとは、自社の従業員が退職の意思を示してから、実際に退職するまでの一連のプロセスをサポートする取り組みや施策のことを言います。本記事では、オフボーディングの概要やメリット、実践のポイントについて解説します。

オフボーディングとは?

オフボーディングとは、退職を希望する従業員の意思を尊重し、退職するまでの事務手続きや引き継ぎをサポートする取り組みを指します。場合によっては、退職後のリレーション維持なども含むことがあります。過去、転職が一般的でなかった頃は、寿退職や定年退職というパターンを除き、転職や独立をするための退職は裏切り者という風潮がありました。

しかし、働き方の多様化によって、転職という選択肢へのハードルが下がっている昨今においては、むしろ会社の外に出る選択をする意思を尊重することが求められます。ひとたび、退職を希望する従業員への対応を間違えれば、「なかなか抜けさせてくれない会社」という評判がたち、ブランディングにも影響を及ぼしてしまうのです。

オフボーディングとオンボーディングの違い

オフボーディングは、退職を希望する従業員が次の環境にスムーズに移動できるよう、業務の引き継ぎや事務手続きなどをサポートする取り組みで、いわば出口戦略となります。それに対し、オンボーディングは、新しく入社した従業員を環境に順応させ、早期戦力化するまでの一連の取り組みを指します。

 

関連記事:オンボーディングとは|新しい仲間を早期戦力化する施策

オフボーディングとイグジットマネジメントの違い

オフボーディングに類する言葉にイグジットマネジメントがあります。イグジットマネジメントは戦略的にリストラや契約解消を行い、会社の新陳代謝を促進する取り組みであり、自主的に退職を希望する従業員をサポートするオフボーディングとは取り組みの目的が異なります。

 

関連記事:イグジットマネジメントとは|個人のキャリアを尊重し、組織の新陳代謝を促進する取り組み

オフボーディングが重要な理由

なぜ、オフボーディングという取り組みが重要なのでしょうか?改めて、3つのポイントに分けて解説します。

アルムナイネットワークの活用

日本は、世界で見ても類を見ない少子高齢化国家です。総務省が2022年に行った統計によれば、労働人口の中核を占める生産年齢人口(15〜64歳)の割合は全人口の59.4%で、統計開始の1950年以来、もっとも低い数値となっています。
参照:人口推計(2021年(令和3年)10月1日現在

労働人口が減少すれば、採用競争は激化していきます。中小零細企業は、工夫して採用活動を実施しないと、大手の資本力やネームバリューによって競り負けてしまうでしょう。

アルムナイネットワークとは、企業を退職したOB・OGのネットワークのことで、このネットワークを構築・維持することで、優秀な人材の再雇用などにつなげることができるのです。

関連記事:アルムナイ採用のメリット・デメリットや企業事例|退職者を即戦力に

レピュテーションリスクの低減

近年は、SNSや口コミサイトが普及していることから、匿名での告発・暴露が容易にできてしまいます。たとえ、企業側に悪意がない退職の引き留めであったとしても、従業員側が「とどまることを強制された」と感じてしまえば、今まで築いてきた信頼関係がなくなってしまうだけでなく、悪評を書かれるリスクが生じます。

今日においては、レピュテーションリスクのゼロにすることはできませんが、オフボーディングの実施、さらにいえば、職場環境の改善や、キャリアパス制度の見直しなどを行うことで、限りなくゼロに近づけることはできます。
関連記事:レピュテーションリスクの意味とは|従業員ができる対策と事例について

「びっくり退職」の防止

「びっくり退職」とは、会社でも評価されている優秀な人材が、何の前触れもなく退職の意思を示すことを指します。突然、退職となってしまうと、現場は人手不足となり業務効率に大きな影響を及ぼします。「びっくり退職」を防ぐには、まず上司に退職を含めたキャリアの相談ができる心理的安全性を担保することが重要です。関係性が維持できていれば、会社へのエンゲージメントが下がり切る前に、配置転換など事前に退職を防止することもできるでしょう。

関連記事:心理的安全性の作り方と高める方法について【グーグルも実践】

オフボーディングを実践するポイント

退職を希望する従業員と、良好な関係を築いていくために重要なオフボーディング。どのようなポイントが大切になるのでしょうか。ポイントは、大きく以下の3つになります。

退職の意思を否定しない

もっとも大切なポイントが、従業員の退職の意思を否定しないこと。今は転職が前提の時代であり、無理な引き止めはかえって従業員との関係性の悪化を招きます。

全面的に引き継ぎや転職活動をサポートする

無事に、次の職場に進めるようにサポートします。退職に必要な事務手続きや、引き継ぎ業務のサポートなど、業務に支障をきたさない範囲で協力しましょう。

率直なフィードバックをもらう

たとえ、円満退社だったとしても、退職に至るにはそれ相応の理由があるはず。良い点だけでなく改善点も含めた、忌憚ないフィードバックをもらいましょう。ここで得たフィードバックは今後の自社の採用や人材育成、キャリアパス制度の設計などに活かすことができます。
関連記事:信頼を生むコミュニケーション|フィードバックの意味をわかりやすく解説

オフボーディングの実施プロセス

オフボーディングの実施プロセスは、大きく「在籍中」「退職後」の2つに分かれます。

在籍中に実施するのは以下のような業務になります。

  • 退職に伴う事務手続き(入館証の回収や専用メールなどのアカウント削除も含む)
  • 引き継ぎ範囲の確認・業務
  • 欠員分の新規採用
  • 有給休暇日の確認・取得申請

退職後に行うことは以下のとおりです。

  • アルムナイ専用サイトへの招待
  • 退職手続きで必要な書類の送付
  • フィードバックアンケートの回収・分析

終わりに

今後、人材の流動性が高まれば、必ず退職は発生します。退職は決してネガティブなものではなく、新しい場で挑戦したい、次のキャリアに進みたいなど理由はさまざまです。

優秀な人材だからといって、無理に引き止めるのではなく、新天地に快く送り出すことが、結果的に自社のブランドイメージを向上させ、再雇用やリファラル採用につながります。ぜひ、本日の内容を参考にしてみてください。

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